このイベントは、オンライン全4回、フィールドワーク1回の企画で、地方移住をぼんやり考えている方や、鶴岡に興味がある方々に向けた対話型の移住イベントです。
鶴岡についての情報提供やゲストを招いてお話してもらいつつ、参加者×住民がお互い知り合うこと、接点を持つことに重きを置いているので、フィールドワークの場所やゲストも参加者の様子を見ながら決めているのが特徴です。
今回は11月27~28日に行われたフィールドワークについてレポートをします。
鶴岡の観光案内所があるFOODEVERに集まり、オリエンテーションをしました。自己紹介をしたり、プログラムの紹介をしながらまずはFOODEVER内を見学。鶴岡の食文化の豊かさを示した、アルケッチャーノの奥田政行シェフが書いた「食べもの時鑑」に掲載されている年表を眺めたりしました。
FOODEVERを後にし、一路駅前通りをブラブラ歩きます。個々に雑談しながら、お店や建物が目に入ると気になって立ち寄ってみたり。長南肉屋さんでメンチカツを買って食べたり。
山王通りに入り、鶴岡で一番古いと言われる山王日枝神社でお参りを済ませ、またブラブラ。子供たちはとっても元気!
スタッフも負けじと元気!笑
コモンリードさんでお菓子を買いつつ、お菓子と居場所「古今cocon」を営む富樫あい子さんの元へ。
酒田出身で鶴岡に移り住まれた富樫さん。お子さんが生まれ、お仕事と住まいが一緒の環境が良いなと考えて物件を探していたら、偶然にも山王商店街にある今の物件が見つかったとのことでした。元醤油屋さんということもあり、古い町屋の佇まいをあえて残しながら改装をし、2019年に「古今cocon」がスタート。最初にコーヒー屋のパラディ―ソさんがテナントに入り、少しずつ利用者が広がっていくうちに、フラワーアレンジメントのお店が入り、更にはイベント的に食べ物が提供されていたりします。最近では親子でゆったり過ごせるイベント「つながるマルシェ」や、子育て世代が集まるランチ会が月一で開催されたり、ヨガ教室が週一回開催されているそうです。
ある時、お座敷の梁が下がってしまって襖がはまらず困っていたところ、「昔は人力で上げていた」という話を聞いて知人に相談したら若者がたくさん集まってくれて。みんなで「ヨイショ!」と梁を持ち上げてみたそうです。ところが襖ははまらず効果はなかったけれど、ワイワイとても楽しかったんだとか。(後日ジャッキアップしてちゃんとはまったそうで。笑)
山王通り近辺に用があって来たときに、なんか古今に行ってみたくなる。ホッと一息つける空間と、美味しいコーヒーと、ゆっくり優しく話しかけてくれる富樫さんの人柄がそう感じさせるんじゃないかなと思います。
富樫あい子さん、あたたかいお話を聞かせて頂きありがとうございました!
今度は銀座通りをブラ歩き。まずは銀座通り入口にある鶴岡名物『きんつま焼き』を一口ずつ頬張りながら、Dadaのコワーキングスペースに行ってみたり、近代を感じさせるエビスビルを見学したり、主婦の店に立ち寄ってみたり。ちょうど、まちキネでイベントが開催されていたということもあってそこへも足を延ばしてみました。
それから、山王通りの裏手にある千一珈琲の岡部浩美さんからお話を伺いに、みちくさ舎へ。
岡部さんは鶴岡出身で、海外経験を生かして首都圏で外資系金融機関を長く勤めていらっしゃいました。お子さんを授かったことがキッカケで鶴岡へ帰ることを決め、2016年にUターン。旦那さんが鶴岡で千一珈琲を開業し、その運営を手伝いながら岡部さん自身はインバウンド観光向けの通訳案内や結婚の世話焼きといったコミュニケーションを主としたお仕事をされています。
移住に際しては「鶴岡マイプロに出会う旅」に参加したことで鶴岡ナリワイプロジェクトの方々と出会ったことが大きかったそうです。そこで出会った仲間が作ったクッキーを店頭で販売させてもらったり、通訳案内士のグループに参画してインバウンド向けの通訳案内のお仕事をすることになったり。企業勤めが長かった岡部さんにとっては自分一人でやっていけるかどうか不安があったそうですが、周りのサポートもあって少しずつ仕事の機会を得ていったそうです。
とはいえ都市部と比較しても鶴岡では収入面が少なくなってしまうので、これから移住をする人には「もしリモートで首都圏の仕事が続けられるのであれば仕事を持ち込んだほうがいい。」というアドバイスを頂きました。
岡部浩美さん、貴重なお話を聞かせて頂き有難うございました!
こうして、あっという間に1日目が終了。
2日目は鶴岡市郊外にあるコトブキハウスからスタート。しました
山形大学農学部の農場に勤める佐久間拓也さんとスケダチのメンバーでもある佐久間麻都香さんは、ヤギと暮らせて農業ができるという条件で家探しをして、2015年に鶴岡市郊外の空き家を購入しました。リビングなど最低限のリフォームをしてもらって暮らし始め、ヤギの小屋、ビニールハウス、堆肥置き場、ウッドデッキ、薪置き場などをほとんどDIYで整備してきました。育てた野菜は、自家消費用はもちろん、親族に送ったり、友達と物々交換したり。薪も職場で伐った木や近所の人から処理したい木を頂いたり。家の裏にある竹林からでる孟宗筍は掘って缶詰にして販売し、その後はヤギが食べる草場にしていたり。暮らしの一つ一つ手作りし、手をかけ続けることそのものを楽しんでいるようでした。最近では、1日の終わりに焚火をしながらウッドデッキでビールを呑むのが拓也さんの至福のひと時だそう。話を聞いただけでも羨ましい。
続いて、朝日地域の大網地区にある地域交流施設『よれっちゃ』へ。ここは大網小学校跡地に建てられた交流センターで、地域行事のほか、「ばばごっつぉクラブ」が開催されるなど、地域の憩いの場となっています。
ここでは前ローカルデザイナーで大網地区在住の渡部恵美さんの案内で、郷土料理作り体験をさせて頂きました。
地元の先生は笹巻名人の遠藤せつこさん、新潟出身の井上秀子さん、山梨県出身の渋谷晃子さんのお三方。
灰汁水に浸しておき水切りをしたもち米を笹で巻いている様子。遠藤さんは慣れた手つきでスゲで結んでいましたが、これが結構難しい。結び方の手順もそうですが、結んでみてもどこか緩くてモチ米がポロポロしてしまったり。笹で巻いたもち米を沸騰したお湯で1時間ほど茹でると、笹巻きは完成します♪
笹巻きを茹でている間に乾煎りしたクルミを割って中身をほじくって。クルミが綺麗に割れると気持ちいい。
献立は笹巻き、ワラビ汁、赤コゴミのクルミ和え、イタドリの油いため、山ぶどうジャムのヨーグルト。
保存食として塩蔵、乾燥されていた山菜を冬の間に食べる、山村の暮らしの一部を体験させて頂きました。
どれも美味しかったです!大網のばばごっつぉクラブのみなさん、ありがとうございました!
引き続き渡部恵美さんに引率して頂き、地域散策へ。
皇檀の杉。樹齢1800年ともいわれる巨木。27ⅿもあるそうです。景行天皇の皇子がこの地で亡くなり、この木の側にお墓を建てられたそう。
これは何の足跡だろう…?
やまがたの棚田20選にも選ばれた上村の棚田を歩いたり、集落を歩いたり。
大網地域のお宅を見学させて頂いたり。
家主である門脇さんのお宅では、戦後まで養蚕をされていた大きなおうちで、牛を飼い、稲作も営んでいました。2階部分では蚕を飼いながら、12月頃は米搗きをしたり。7人家族が同居していたこともありかなり広い間取り。「てんご」という山菜採りや茸採りで使う腰カゴや、「ケェシキ」という雪を屋根から落とす民具を拝見させて頂きました。冬の大網は3ⅿほど雪が積もる豪雪地帯で、ワラ仕事などをしながら屋根の雪下ろしをして暮らしてきたそうです。
大網地区は湯殿山の麓に位置することもあり、六十里越街道が通り、大日坊や注連寺といった湯殿山系統のお寺があり、かつては宿坊もあって人の往来がたくさんありました。全国に17体しかない即身仏の2体が大網地域に現存し、大日坊や注連寺には今も観光客が絶えません。現在は大網地区全体で80軒、200人ほどが暮らし、春には山菜や月山筍の採集、田植え、夏は草刈りや畑仕事、秋は稲刈りや茸が採れ、冬は屋根の雪下ろしをしながら保存食を食べる。集落を歩いているとどこの堰にもゴーゴーと水が流れ、あちこちの家に堀があって山の水が生活に利用されていました。昔と変わった生活スタイルや仕事もありますが、昔と変わらない自然資源を活かした暮らしがここには息づいています。大網を歩きながら見えてくる風景から、山村生活が少し垣間みえた気がします。
渡部恵美さん、短い時間ではありましたが大網を存分に案内して頂き有難うございました!
こうして2日間のフィールドワークが終了しました。
ご協力いただいたみなさま、参加者のみなさま、本当にありがとうございました!
今回のフィールドワークを企画したスケダチ自身も存分に楽しませていただきました。
最後に少しだけ、参加者の感想をご紹介します。
・ワークにしても、実際の街歩き、お店、移住者の経験談、地元料理体験等バラエティー豊かにコンテンツを考えられていてとても様々な刺激を貰いました。
・小さな子連れでご迷惑をおかけしたかと思いますが、スタッフの方々の温かいサポートのお陰で楽しむことが出来ました。Facebook等でも繋がらせて頂きたいと思ってますので、ぜひ今後ともよろしくお願いします。
・平野育ちなので山が近い場所はとても憧れがありましたが、今回で山に近い集落のいい面、悪い面がみられとてもためになりました。
また今回は山への地域でしたが海の方への地域も行ってみたいと思いました。
・とても素敵な2日間でした。有企画して下さったスケダチの皆様、受け入れて下さった地元の皆様に感謝します。何より見て終わりではない、交流中心であったことが鶴岡のヒトを感じられてプライスレスな体験になりました。
次回は12月18日の第二回目のオンラインイベント。
『地方に住む理由と鶴岡の魅力』をテーマに鶴岡に暮らすゲストの方々をお招きしてお話を聞いたり、話し合ったりしてみます。お楽しみに!
ご興味がある方はぜひ今からでも申し込みできますので、前略つるおか住みマス。の特設ページをご覧の上、お申込み下さいませ!
ではまた。
文責:Sukedachi Creative 庄内 田口比呂貴
Коментарі